□ 第67回「新型カルヴァドス・サッカー」

 この日はWCS(WEFAチャンピオンシップ)のグループステージの組み合わせ抽選が行われていた。欧州の名だたる強豪の名将たちが運命を分けるこの抽選会に参加していた。
 カン・アスレチック・クラブの監督として参加していたヴァレン・ルドルッティーは近くの席にいたリヴァプールのフランス人監督、ジェラール・ウリエと談笑していた。
「相変わらずユヴェントスには弱いんですよ。ミランやインテルには強いんですがね…。」と昨季のWCSの話題をルドルッティーがしているとグループBにユヴェントスの名が入った。
「じゃあ、あのグループには入りたくないですねぇ。」ウリエがそう言うとさらにミランもグループBに名を連ねた。昨季のファイナリストが同グループである。そして実力派のそろうブレーメンがそれに続いた。「ここは激戦区ですね。あとひとつがうちでないといいんだが…。」ウリエがそうつぶやく中グループB最後のチームの名が書かれたボールがプレゼンターの手に握られた。
「カン・アスレチック・クラブ、フランス・ウェスタンリーグ」
げっ、思わずルドルッティーはそんな表情を見せた。お気の毒にとウリエは肩を窄ませる。苦手のユーヴェに欧州王者のミラン、実力のあるブレーメン…とんでもないグループに入ってしまったものである。
 カンはリーグでも開幕戦からディポルティーボ、ボルドーとの試合が組まれておりなかなかのハードスケジュールである。新しい布陣をテストする相手がミランやユーヴェならテストとしては申し分ないが結果を残さなければならないのも事実である。
 しかし、カンの新フォーメーションは驚くほどすんなりとチームに浸透した。4−1−3−2という攻撃的なシステムは守備陣に多大な負担をかけることもあるが、こちらがボールを持っている間は恐ろしいほどの破壊力を持つ。点を奪うことこそがサッカーだと考えるルドルッティーとエールが望むチームが出来つつあった。
 開幕戦でディポルティーボを3−0で撃破したカンはWCSでミランと対戦した。F・インザーギに先制点を奪われるもキヴィの2得点で逆転し勝ち点3が見えたところで“終了間際に強い”ヨウ・シーナに同点弾を食らわされて勝ち点1に止まった。
 ミラン戦ではリードした後半20分過ぎからピレスに代えてガットゥーゾを入れて守備を強化したが、最終的に追いつかれてしまった。この采配を疑問視する声がいくつか聞こえたがルドルッティーは「よくあること。」と流した。この手の批判はサッカーには付き物なので尾を引くことはないだろう。

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