□ 第53回「3冠」

 キヴィとショルの対決が毎回話題になるカン・アスレチック・クラブ対レアル・ベティス。今回はWEFAチャンピオンシップとマスターズカップのファイナリスト同士の対決ということもあって好ゲームが予想された。
 勝敗の鍵はキヴィとショルにあったが、それ以上にそのゲームメイクを周りがどこまで活かせるかが重要である。その点でカンの中盤のクオリティーがわずかにベティスを上回った。ベティスはパレルモへのラストパスをユーゴーに阻まれショルの個人技だよりになり無得点。カンはキヴィのチャンスメイクを絶不調シェフチェンコが決められない。それでも、高い位置でショルへのパスをカットしたユーゴーがミドルレンジまで持ち込んでピリニャークへパス、マークがゴール前に入り込んだキヴィに引き付けられていたためフリーでこのパスを受けたピリニャークが低く速いシュートをサイドネットに突き刺して決勝点となった。
 ショル対キヴィは二人の卓越した技の応酬となり盛り上がったが、シェフチェンコの連続無得点はチャンピオンシップ決勝に向けて大きな不安となった。ゴールを決めたピリニャークは決勝を出場停止で欠場する…。
 エールは決勝戦でベストな布陣が組めないことを心配していた。出場停止のピリニャーク、クリスタンバルに加え、怪我でファン・デル・ファールトまで欠くことになってしまったのだから無理もない。さらに、シーズン合わせてわずか10ゴールのシェフチェンコも不安要素である。カベナギもここ数試合は結果を出せていない。キヴィを抑えられたら手の打ちようがないのだ…。
 結局エールはカベナギを1トップに据えてピリニャークの代わりをロタン、ファン・デル・ファールトの代わりをペドレッティー、クリスタンバルの代わりはフォックというメンバーを選んだ。
 試合の鍵となるのはピレスとキヴィだった。ファン・デル・ファールトがいないときはピレスが中盤をコントロールしなければならない。FWの決定力不足もありキヴィは前線にいるとこが多いためピレスからキヴィというラインの確保がカンの生命線となった。
 前半はそのラインが確保され、3度惜しいチャンスを生み出したが得点にはいたらない。ソシエダもコバチェビッチが1度あった決定機をモノにできず前半は0−0で終了した。
 後半に入ってカンの攻撃はサイドアタックに変わる。ピリニャークの代わりとして決勝への出場機会を得たロタンが左サイドを崩して何本もクロスを供給する。すると36分、左サイドに引っ張られるソシエダDFを右サイドのピレスとカンデラが突破してクロスをあげた。これをファー・サイドでファン・デル・ファールトの代役・ペドレッティーが頭で折り返すとゴール前にフリーで入れたカベナギが決めてカンが欧州制覇へ大きく前進した。
 その後はソシエダの猛攻にさらされるもののキヴィがキープ力を活かして時間を稼ぎ、狡猾なDFラインがソシエダのFW陣をオフサイドの網にかけカンが1−0で勝利の笛を聞いた。
 優勝の瞬間、エールはベンチ裏にいたスラングソンGMと抱き合い喜びを爆発させた。就任5年目での3冠達成である。若いカンの選手たちは大はしゃぎでピッチを跳ね回った。そしてキヴィがビッグイヤーを掲げカン・アスレチック・クラブはついに欧州の頂点に立った。
 優勝の余韻の残る中、3日後のレアル・マドリー戦を4−2で勝利してカンはシーズンの全試合を消化した。リーグ最終戦ではシェフチェンコが惜別の3得点を決めシーズンを締めくくった。そして激動のオフシーズンが始まる…。

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