□ 第47回「話題の中心」

 準々決勝第2戦、ベストな布陣を組んだカンに対しマンチェスターも出場停止のG・ネヴィル以外はベストなメンツがそろった。アウェイであっても守る気はないカンは序盤からプレスをかけてチャンスを作る。3分にキヴィがオープニングシュートを放つと、10分にはCKにピレスが飛び込んで惜しい場面を作る。対するユナイテッドは第1戦でマン・オブ・ザ・デイに選ばれたファン・ニステルローイがダイビングヘッドでゴールを襲うがライブニッツのポジショニングの良さに阻まれてしまう。
 第1戦よりボールがキヴィに集まりだした18分、そのキヴィがユナイテッドのDFラインをパス1本で切り裂く。シェフチェンコへのラストパスがDFラインを抜き、GKと1対1の場面を作り出すとシェフチェンコが冷静にこれを流し込んでカンに貴重な先制点をもたらした。
 このままではリードを許したユナイテッドは猛烈な反撃に出る。27分、32分、34分、43分と決定的なシュートを放つもGKライブニッツが素晴らしい反応でこれを防ぎ1−0で前半を折り返すことに成功した。
 浮き足立ち始めるユナイテッドに追い討ちをかけるようにシェフチェンコが再びゴールを決める。後半5分、ピレスのCKをユーゴーが合わせてこぼれたボールをシェフチェンコが豪快に蹴り込む。これで2点差、ユナイテッドはあと3点取らなければいけない状況になった。しかし、カン相手に3点奪ったチームはここ4年間で1チームもない…。
 試合終了の笛が吹かれるまでエールはベンチに座らず大声を張り上げ続けていた。「何が起こるかわからない」それがエールの本音であり、過去の準々決勝であった。そして笛がなった瞬間、エールはベンチのコーチたちと抱き合って喜んだ。「我々は欧州のベスト4に入ったんだ!」と叫び顔を真っ赤にして喜んだ。
 帰りの飛行機はお祭り騒ぎだった。かなりの運動量だったユーゴーとピリニャークは離陸直後からいびきを掻いて寝ていたがその他の選手は大騒ぎだ。ノルマンディーに着くと会長主催の祝勝会が開かれてまた大騒ぎになった。未成年の選手の飲酒をスキャンダルにしようと数名のパパラッチが狙っていたが未成年組が隅っこでリンゴジュースを飲んでいたのをみてすごすごと退散していった。どうやらエールはしつけにも厳しかったようだ…。
 今季の欧州の主役はウェスタン・リーグ勢である。チャンピオンシップでは準決勝に残ったのはレアル・ソシエダ、カン、レアル・マドリーの3チームで準決勝はソシエダ対ミラン、カン対レアル・マドリーとなった。マスターズカップでは準決勝がベティス対マルセイユ、ユーヴェ対ドルトムントとなり両大会の決勝にウェスタン・リーグ勢が残ることが確実となった。
 チャンピオンシップで準決勝進出を果たしたレアル・マドリーはやはり大型補強に出た。手始めにフリー移籍でマルディーニ、サムエル、ヴィエリ、レコバ、F・カンナバロを獲得したとのニュースに世界中が驚嘆の溜息を漏らした。コメントを求められたエールは「やってみないとわからないさ。しかし、準々決勝をやっと突破したのに話題を独占されるのはいい気分じゃないね。」と苦笑い。監督になる可能性もあるのでは?と聞かれると「完成された大物選手を買い漁るのは私の趣味じゃないんでね。それにマドリーじゃおいしいリンゴが食べられなくなっちゃうよ。」と冗談交じりに否定した。カンとエールは相思相愛の関係であることは間違いないようだ。

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