□ 第21回「スケジュール」
 移籍期間中にカン・アスレチック・クラブは新しいユニフォームを発表した。昨季までのN社のものからフランス代表のサポートもしているA社のものに変わったがデザインは変わらずホームは白に青のストライプ、アウェイは黒である。

 移籍期間が終わるといよいよ新シーズンのスケジュールが決まる。そのスケジュールを見ながら首脳陣は選手のやりくりやコンディション作りを考えるものなのだが、カンのスケジュールは調整の余地のないものになってしまった。

 初めてのWEFAチャンピオンシップではASローマ、アトレティコ、バルセロナという最激戦区のひとつに組み込まれ、リーグでは5節からソシエダ、バルセロナ、アトレティコと続くハードな日程である。 エールは監督として初めて迎えるC.S.に心躍らせながらも連日コーチ陣とミーティングを重ねてコンディション管理につとめた。

 そしてカンにとって2シーズン目のD1リーグが開幕する。開幕戦はD2から昇格してきたブレッシァだ。 エール監督は昨季同様の4−2−3−1を採用し、GKをファン・デル・サール、DFを右からペレズ、オラッラ、エルゲラ、ラヴィス、DHにトゥドゥールとペドレッティー、その前に左ロタン、右ブッフェル、注目のトップ下にはセルナトを起用。そしてシェフチェンコが1トップという布陣で臨んだ。

 ブレッシアとはほんの2シーズン前には同じD2で戦っていたのだが、この2シーズンで両者には大きな差ができてしまっていた。 開始から圧倒的にボールをキープするカンはセルナトとロタンを中心に攻撃を組み立て攻め立てる。前半38分にセルナトがロタンのクロスにダイレクトで合わせる美しいシュートで先制すると、その後もほとんど試合を支配し危なげなく開幕戦を白星でスタートした。

 ミッドウィークにASローマ戦を控えていることもありエール監督は主力を温存した形だったが、昨季王者の格の違いを見せつけて勝利を手にした。 そして初のC.S.を迎えた。緒戦はホームでのローマ戦となった。セリエA経験者が多い上、長年在籍したカンデラがいるため情報には事欠かなかった。そう、トッティは危険だという情報が。

 先制はカンだった。前半7分にセルナトのシュートのこぼれ球をシェフチェンコが押し込む。これがローマDFサムエルに当たりオウンゴールとなった。前半終了間際にはカンデラが古巣にキツイ1発を決めて2−0として前半を終了した。 しかし、ローマは後半になって変貌する。56分にゼンデンのゴールで追い上げムードになると84分にもゼンデンが決めてドローに持ち込んだのだ。

 これは堅守でウェスタン・リーグを制したカンにとってショッキングなものだった。これに動揺したのか翌週のリーグ戦、バレンシア戦では開始1分40秒で先制点を決められる。しかし、ここまで無得点の昨季の得点王シェフチェンコが目を覚まし28分、32分、63分にゴールを決め一人で試合をひっくり返してしまった。 この試合でカンでのデビューを飾ったファン・デル・ファールトは85分間プレーしまずまずのプレーを見せたがまだまだ連携ができあがっていない印象が強かった。

 エール監督は試合後のコメントで「ローマ戦も驚かされたが今日はもっと驚かされた。シェフチェンコの調子が上向いてくれば怖いものなしだよ(笑)」と上機嫌で会場をあとにした。ミッドウィークにはアウェイでアトレティコ戦、ベティス戦と強豪との対戦が続くが取りこぼしは許されない。カンの厳しい戦いは続く。
PS2RC

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