□ 第15回「歓喜と混乱へ」
 カン・アスレチック・クラブは今シーズンあまり…というよりほとんどの試合をギリギリで勝ってきた。時には点差が開くこともあったが、あくまで結果であり内容も圧倒したという試合は限られている。

 それでも彼らは勝ち点を拾い続けて19節消化の時点で来季のC.S.予選出場権を得られる6位以内確定へ王手をかけた。

 20節のソシエダ戦。ここで勝ち点を1でも得れば6位以内が確定する。

 試合は白熱したものとなった。同じくヨーロッパ行きの切符を狙うソシエダはコバチェビッチとニハトを中心に果敢に攻撃をしかけるがクリスタンバルとエル・カモクーリが守る最終ラインは崩れない。

 次第に攻撃に焦りが出てきたソシエダの攻撃は単調になりカンのカウンターを誘発する。 31分、クリスタンバルが自陣深くでパスをカットすると素早く中盤を駆け上がるイズマイロフへ。右サイドから中に切れ込むイズマイロフに合わせてショルが右サイドへDFを引きつけながら開いてスペースを作ると、左サイドからフリーでロベールが走りこむ。

 それを見て左に寄ろうとしたDFの裏へシェフチェンコが飛び出した。そこへオフサイドギリギリでパスが出る。GKと1対1となったシェフチェンコが素早い切り返しでGKを抜き去りあっさりと先制点を決めて見せた。

 ソシエダは後半に入っても猛攻を仕掛けるが、攻めれば攻めるほどカンのカウンターは鋭くなる。そして後半19分にはさらにソシエダの咽喉をえぐる。中盤でプレッシングをかけたボロブスキーがデ・ペドロの横パスをかっさらうとすかさずショルへ、これを受けたショルがDF3人を鮮やかに抜き去り4人目のDFを引き付けてフリーのシェフチェンコへ。これをシェフチェンコが難なく決めて2−0として試合を決めた。

 最後まで攻め続けたソシエダを振り切り、カンは昇格1年目の目標であるヨーロッパ行きの切符を手にすることに成功した。

 エールは試合終了の瞬間、すでにベンチに下がっていたショルが抱き合って喜んだ。試合後もカンの街は昨年の昇格決定のときのように沸きあがり、しばらくは誰もが来季のC.S.を思い浮かべながら幸せな時間を過ごすと思われた。

 しかし、翌日の新聞はそのことよりもショッキングなニュースが誌面を賑わしていた…。
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