□ 第14回「怒り」
 カップ戦準決勝のアトレティコ・マドリーとの第1戦を終了間際のバの2試 合連続ゴールで下し、16節のバレンシア戦をシェフチェンコのハットトリック で圧勝した首位カン・アスレチック・クラブは勝ち点差7で2位のバルセロナ のホーム、カンプ・ノウに乗り込んだ。

 D1で唯一カンに黒星をつけている昨季の王者・バルセロナがここでもカ ンの前に立ちはだかる。開始からボールをキープして優位に立っていたカ ンだが、36分中盤の左サイドでロベールがプジョールにボールを奪われカ ウンターを喰らう。  プジョールが長いスルーパス1本でDFラインを抜くと、飛び出したMFジェ ラールが滑り込むフレイの鼻先で合わせてゴールに流し込んだ。カンのイ レブンの脳裏には前回のホームでの0−2という完敗がよぎる…。  エールも嫌な雰囲気を感じていた。ロベールとイズマイロフに本来のキレ がなく、ショルはたびたび孤立してしまう場面が見られた。

 エールの嫌な予感は的中してしまう。前半41分、バルサ陣内でショル のマテラッツィ(今季加入)へのなんでもないスライディングでファウルをと られ、レッド・カードが出されたのだ。

 ファウルをとってもらえただけでもラッキーだと思っていたマテラッツィもこ のレッドには口を開けて驚いたほどだった。  不可解な判定に激昂したエール監督はベンチを飛び出して審判に食って 掛かろうとするがコーチに止められ文句をいいながらベンチに戻った。審判 に抗議していたショルだが同じように審判に抗議しようとしたスフォルツァと ロベールを押さえてなだめ、自らはロッカーに下がっていった。試合後にわ かったことだが、ショルはロッカーでこの日は出場停止だったボロブスキー の前で泣き崩れたという。

 前半終了間際、怒りの冷めやらないカンにさらに不可解なジャッジが襲 い掛かる。P.A.に切れ込んだシェフチェンコがプジョールに倒されたのに 対し審判はノーファウルの判定。どう見てもプジョールの足はシェフチェンコ にかかっており明らかな誤審だった。  先ほどのショルの退場からボルテージが上がりっぱなしのエールはつい に審判に暴言を吐き退席を命じられてしまう。

 混乱したカンは後半13分にサビオラに追加点を決められる。しかし23分 、シェフチェンコがゴール前に折り返したボールをロベールとマテラッツィが 競り合い、こぼれたボールをペデレッティが押し込んで1点差とする。  32分にジェラールに再び決められて3−1とされるが、2分後にシェフチェ ンコが1人で決めて3−2。このあとも最後まで食い下がったものの追いつ けず今季2敗目を喫した。

 試合後にコメントを求められたエール監督は「審判について言うことはな い。どうせ新聞もテレビも扱えないような言葉しかでないよ。」と言ったあ と、「ショルを責める気はないし、サポーターも同じでしょう。私の退席に関し ての批判は甘んじて受けるよ。」と語りスタジアムをあとにした。

 バルサの選手数名は試合後にコメントを出した。 「ショルの退場は我々に有利に働いたのは事実だが、あの退場自体には 疑問を感じずにはいれない。(この日2得点のジェラール」 「せっかくの首位攻防戦だったが後味の悪いものになってしまったのは残 念だ。(クライフェルト)」など、バルサの選手も審判の判定には疑問符をつ けた。

 翌日、カン・アスレチック・クラブのクラブハウスでは監督、コーチ、役員ら 集まりが会議を開いていた。エールは退席について謝罪したが、誰も彼を 責めるものはいなかった。

 会議は来季の補強策についてのものだった。エールは現有の戦力でも リーグ戦は戦えるという見通しを持っていたが、C.S.出場権を確保でき た場合は選手層の薄さは致命的になりかねなかった…。
PS2RC

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