□ 第15回「激闘ガリシア」
『ルゴ、ソシエダを3−0で蹴散らして2位リヨンに勝ち点10差!!』16節でホームにソシエダを迎え撃ったルゴはシャビ・アロンソ、カフー、デ・ペドロという中盤の核を出場停止で使えないソシエダを3−0で下して独走態勢に入りつつあった。ソシエダ戦ではグラシアがアランサバルをキリキリ舞いにさせる1ゴール2アシストと大暴れした。アランサバルという代表クラスのSB相手でも臆さない果敢なプレーに新聞各紙の平均評価は8.0。代表で試すべきだと書く新聞もあった。
明るい雰囲気のルゴだったがベテランのパウロ・ニエトの姿はそこにない。膝の怪我は思った以上に悪くシーズンほぼ絶望と見られていたのだ。キャプテンマークを託されたグティの提案で選手全員がアンダーシャツにニエトの背番号4を書いてプレーすることに決まりチームは結束を強めていた。
17節はアウェイ・リアソールでディポルティーボ・ラ・コルーニャとのダービーマッチ。その後は18節、ホームでの3位バレンシアとの対戦と続く。ニエト抜きのDFラインはサラビアが指揮を執り相棒はオーイェルが務める。リアソールに乗り込んだルゴ。今季11位と低迷するディポルティーボだがダービーマッチということもありかなり気合が入っていた。
ここ数試合安定したパフォーマンスを見せているグラシアだがこの日はディポルティーボのアルゼンチン人MF・ドゥシェルに徹底マークされてうまくボールに絡めずにいた。アルゼンチンらしいとでも言うべきクレバーな守備にグラシアは苛立っていた。「くそ、引っ張ってるだろ!」シャツを引っ張られ足を削られサイドで足止めされるグラシア。左サイドではグティがマウロ・シウバとやり合っている。この状況でゲームを作れるのはピボーテの位置にいるメンディエタだけになるのだがフランに引っ張られて思うように前に行けない。サイドライン際でドゥシェルとスカローニの厳しいチェックに耐えながらグラシアの出すパスはナイベトにカットされ強力な前線に送られる。
トリスタンをマークするオーイェルはオランダ代表にも名を連ねる実力者である。しかし、今季ここまで得点ランクのトップをひた走る絶好調のトリスタンはその上を行っていた。ルゴの左サイドをビクトルがドリブルで崩すとトリスタンへ。足元でボールを受けたトリスタンが巧みなステップでオーイェルをかわす。「サラビア、カバー!!」ゴールマウスから指示を飛ばすゴヤにトリスタンの強烈なシュートが襲い掛かる。カバーに入ろうとしたサラビアとボールが一瞬重なってしまったためにゴヤはボールを見失い一歩も動けなかった。ボールは左隅に突き刺さる。落胆する守備陣にグティが声をかけるが徐々にDFラインは下がっていく。
「グラシア!頼む!!」中盤でなんとかディポルティーボの攻撃を食い止めたフェルナンド・メイラがグラシアにボールを出す。即座にドゥシェルが噛み付いてくる。キープに入ろうとするグラシアにグティが左サイドから怒鳴る。「抜け!!抜いて見せろ!!」意を決したグラシアはボールをチップキックでスペースに落として急加速でドゥシェルを抜きにかかる。ぐいっと腕をつかまれるがそれでも止まらずにボールを追いかける。ドゥシェルのカバーに来たスカローニが先にボールに追いつくかに見えたがグラシアが思った以上に早かったので目測を誤ったドゥシェルがスカローニに激突、グラシアも巻き込んでクラッシュ事故のようになってしまった。
「大丈夫かグラシア!?」メンディエタが駆け寄るとグラシアは左手首を抑えていた。脱臼したらしい…。すぐに飛んできたトレーナーに手首を固定するように頼むグラシア。「まだやれる!まだ走れる!」それを聞いてトレーナーのサンチェスはベンチに○のサインを出す。「監督がガンガン仕掛けてこいって言ってたぞ。お前なら抜けるはずだ!」サンチェスの言葉に頷いたグラシアがピッチに戻る。入るなり「グティさん!こっち!!」と左サイドで起点を作ろうとボールを落ち着かせるグティにボールを要求する。グティからメイラを経由してグラシアにボールが入る。例のごとくチェックにきたドゥシェルと競り合いながらも前に進もうとするグラシア。結局、カバーに来たスカローニのタックルで潰されてしまうがすぐに起き上がる。「いいぞ、何度でも勝負に行け!!」後ろからジャンナコプーロスがグラシアに声をかける。その言葉の通りグラシアは何度もドリブルでチャレンジする。幾度か地を這ったが前半37分、ついに右サイドを突破する。ドゥシェルをスピードで振り切りスカローニをフェイントでかわして中にクロスを入れる。このクロスを待ち続けていたルケが頭で合わせて試合を振り出しに戻した。「待ちくたびれたぞ!!」駆け寄ってきたルケと右手でハイタッチしてグラシアも喜びをかみしめる。そして前半はそのまま1−1で終了した。
後半に入ると中盤での激しい潰しあいはさらに加熱する。なんとかグラシアを止めようとするドゥシェルとスカローニに対して後半はジャンナコプーロスが積極的にオーバーラップをしかけてサイドで2対2の状況を作り出す。そこにメンディエタが絡んで厚い攻撃をかける。ディポルティーボはビクトル、フランがサイドを突破してトリスタンにボールを集める。しかし、サラビアの抜群のパスカットで得点を許さない。攻め合いの展開にもかかわらずゴールは生まれない。しかし、先にゴールを生み出したのはディポルティーボだった。トリスタンがオーイェルとサラビアのCBコンビを切り崩してゴヤと1対1になる。“鼻血を出してでも止める男”ゴヤがトリスタンの狙いすましたループシュートに反応してはたき落とすもつめたビクトルが無人のゴールに蹴りこむ。これでルゴは力尽きた。このまま1−2で負けて今季初の黒星。これで2位との勝ち点差は7になった。そしてシーズンは佳境に入っていく。
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